桃田さんと手分けをして一時間ほど草むしりをすると、随分と開けた場所になった。


それから近くの花やで花と花筒を購入し、刺しなおす。


これで見栄えもよくなった。


俺は購入してきた袋からおもちゃを取り出し、ひとつひとつ墓の前の地面に並べて行った。


これで文隆の気持ちが晴れるかどうかわからない。


もしだめなら、もう1度やり直しだ。


諦める気はなかった。


絶対にこの呪いをとめてやる。


脳裏には死んでいったみんなの顔が浮かんできてきていた。


遥。


俺、頑張るから……。


最後のひとつを袋から出した、次の瞬間だった。


突如右肩に衝撃を感じて体のバランスを崩していた。


その場にしりもちをついて振り返る。


そこには桃田さんが立っていた。


さっきまでと変わらず穏やかな笑顔で、右手にナイフを握り締めて。


「え?」


咄嗟には理解できなかった。


右肩に感じた衝撃と、桃田さんの持っているナイフの先についた血も、繋がらなかった。