そして、つれてこられたのは近くの公園だった。


小さな公園でブランコがひとつしかないので、誰の姿もない。


それを確認すると文隆は安心したように息を吐いて、ベンチに座った。


「で、なにがあったの?」


私は文隆の隣に座って質問をした。


「……昨日、病院に行ったんだ」


その言葉に私はキュッと口を引き結んだ。


顔色が悪いと思っていたけれど、本当に病気だったみたいだ。


何も言わず、次の言葉を待つ。


「俺、20歳まで持たないんだって」


「え……?」


一瞬文隆の言葉を聞き逃してしまって、私は首をかしげた。


強い風が2人の間を吹き抜けていく。


私たちの間に見えない大きな壁が立ちはだかったように感じられて、焦燥感が沸いてくる。


「ごめん、今、なんて?」


「俺は、大人になる前に死ぬ」


今度はしっかりと聞こえてきた。


ただ、私自身がその言葉を信じたくなかった。