犯人のことを呼び捨てにするということは、もしかして知り合いだろうか?


「はい。俺は彼女まで失ったんです」


そう言う声が自然と震えた。


思い出すだけで胸が締め付けられて苦しくなる。


でもここで泣くわけにはいかないと、歯を食いしばって耐えた。


「わかったわ。私は文隆と同級生だったの。話をしてあげる」


女性はそう言うと、俺を促して歩き出したのだった。