こい に つかれるのレビュー一覧
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5.0
5.0
2026/03/23 09:25
投稿者:
瀧
さん
こい に つかれる
「変わる必要ないだろ」と言う声と、
「変わんないでよ、ぜったいに」と願う声が、同じ場所にあるのに少しだけ噛み合わない。
そのわずかなズレが、ふたりの距離そのものみたいで、やさしくて、苦しい。
触れた体温は確かなのに、
「友だちじゃない。こいびとじゃない。それでも極彩色で、これは恋。」なんて、
名前を与えた瞬間に壊れてしまいそうな危うさをずっと抱えている。
キスは答えじゃなくて、ただの保留。
言えなかったことを隠すための、やわらかい沈黙。
「私、は、寂しいよ」——その言葉の奥にあるのは、
自分の孤独じゃなくて、相手と同じ温度でいたいという願いだった気がする。
ほどけないまま、少しずつ形を変えていく関係。
守りたいのに、守ろうとするほど零れていく時間。
これは恋の完成形なんかじゃない。
「こい に つかれる」まま。
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