私たち、今日で変わってしまう。
世界が変わってしまう。

堅苦しくて仕方なかった何かが自動オフで、ぜんぶぜんぶが委ねられる。ぜんぶ、自分の気が詰まる。

肩が重くて窮屈だった。次に次に迫ってくる季節が苦しかった。それもすべてお終い。それもすべて、過去。

今日で変わってよくなる。

でも変わらない季和が、季和で、何だか狂いそうだったピースが留まってくれて仕方ない。

すこし目をまるくした季和は、理解したあとにふやけたような笑みを浮かべた。

和やかな季節の温度みたいな。



「果無のその基準ってどこまでなの」

「そりゃあもちろん内面的なあれ、かなあ」

「何一つ伝わってこないけど?」

「あ……、ほら、髪色とかは日常茶飯事じゃない? 季和はよく髪染めてたし私のなかで耐性あるっていうか、」

「ふーん、それで?」

「あと、全然気取らないとこ」



私のこと、私にしてくれるところ。



「取って付けたような言い方だけどおもしろいから許すよ」

「私がおもしろくてよかったね。許す口実できたでしょ」

「黙らせたいからこっち来て」

「黙ってほしくないくせに」



私たち、今日で変わってしまうのに。
きみと私はぜんぜん変わらなかった。