「……妹さん上手いね。結構ピアノ歴長い? 」 「小学校に入学して始めたから、もう結構長い期間、こうやって晩ご飯まで練習してるね」 彼女に促されて座った食卓のテーブルに肘をついて、椅子に軽く腰かけてぼうっと光景を眺めていた。窓から吹き込む秋の夜風に晒されながら。 窮地に立たされた俺は現実逃避をしたかったのかもしれない。 過去の俺に、過去の人に、 問いかけたくて仕方がなかった。 どうしてこうなってしまったのだ?、と。