朝起きて、ご飯が準備されている事がこんなに嬉しいだなんて。


「ミチルありがとう!すげえ、美味い!!」
「魚苦くない?」


ちょっと魚が焦げているけど、なんにも気にならない。


もし、真っ黒に焦げていたとしても、俺は躊躇無く食べるだろう。


ミチルが俺の為に作ってくれたのだから。



「苦くないよ!めっちゃくちゃ美味い!!」
「陸は優しいね……」
「ん?」
「私の事大事にしてくれる!!
だから、私料理も頑張るね!!」
「……俺の家さぁ」
「ん?」
「母親が料理しなかったんだ。
だから、出来たてってだけで嬉しい。


彼女が料理上手いって、最高!!」
「え、っ!お母さん料理しなかったの?
ご飯はどうしていたの?」


ミチルが不思議そうな表情で、こちらを見ている。


「インスタントか外食!」
「身体に悪いよ!」
「健康だけど、作って貰えるって嬉しくて……」
「今からは、私が手作りするよ!」
「ありがとう」


朝ご飯を堪能して、工場に向かった。


「陸。現場は大変だけど頑張ってね!!」
「ありがとう」


事務所に向かって歩くミチルの姿が、大人びて見える。


そんな後ろ姿を見ていると、ミチルの父親が声を掛けてきた。