「な、なにそれっ!!就職決まってたの…!蹴っちゃって無くなったけど、寮とかも決まっててっ」
「うるせえ。知るかそんなモン」
「いや知って!?株式会社ヨククルは私だけの力で頑張ったんだか───んんっ…!」
強引に唇が塞がれた。
息だってさせてくれないし、身体は抱えられたままだし、気づけばベッドだし。
初めてだからもっと優しくしてほしいのに、あんな俺様なプロポーズがあっていいわけないのに…。
「絃織…っ、いおり、」
「…待たせて悪かった」
それなのに涙が止まらないのはどうしてなんだろう。
これは悲しいものじゃなくて嬉しくてたまらないもの。
忙しくなるってことは、もうみんなには知らせちゃったのかなとか。
ずっと隠されてたのに、もうそんなのしなくていいんだよって言われてるみたいで。
「すげえ綺麗だったから言葉が出なかった。…似合ってる」
「っ、ビリビリになっちゃったけど…っ」
ほら、私たちってやっぱりタイミングが悪い。
でもそんなのどうでもいいやって思うくらいに幸せだ。
額の傷にちゅっと触れられて、ぎゅっと抱きしめてきたかと思えば、彼は私の首元に何かをパチッと付けた。
「…これ…、」
「本当は誕生日に渡すつもりだった」
それは私が初めて身に付けるアクセサリー。
細いチェーンにイエローゴールドの指輪が通されているネックレス。
シンプルなデザインなのに、キラキラと何よりも輝いて見えた。
「…卒業したら、ここに付けろ」
そっと左手を掴まれて、薬指にちゅっと口付けてくれる。
それを掴んでくれる左腕には紫色をしたブレスレット。
そんなものにもっと涙が浮かんで、拭う暇もないくらいに優しい唇が落とされた。



