クールな完璧先輩は推し活女子を溺愛する

「どうしてここに!?」

「決まってるやろ!アンタらをつけてきたんや。野見山!」

「はい」

魅亜達が驚いて振り向くと出口を塞ぐように、学校の事務員の野見山が立っていた。

「容子!お前は!」

「あ~ら?響たん。そんなショボい隠し天女より私の方が良くなった?」

「鳥飼くんをバカにするな!彼女は紛れもなく、天神様の神意に読み解いた!本当に真ある者は、自分に真があるなどと思い上がらない!だから、引き返してもう一度考え直そうとした鳥飼くんは壁を開く事ができたんだ!!」

響一郎は懸命に愚かな元婚約者に訴えるが、倉員には馬の耳に念仏だった。

「だからなに~?私がその女に勝ったのよ?でも、響たんはちょっと可哀想だし~?今すぐここで私と結婚式をするなら、宝物を分けてあげるかもよ?」

「え?こんな不気味な場所で?やっぱりこの人、怪人なんですね!?」

魅亜はバカにされた事よりも、こんな訳の解らない場所で結婚しようという神経が信じられない。

「負け犬は黙れ!後藤!あんたもいつもみたいにこの女を黙らせなさい!!」

「嫌よ」

「はあ?なに~?」

「私がこの宝で女王になるからよ!!」

「ひい!?」

今まで宝箱の前に跪いていた後藤が低く唸り、いきなり立ち上がると倉員の頬を張りとばす。

「ご、後藤!あんた家来のくせによくも!」

「あんたにはもうウンザリ!あんたと一緒にいればいい思いができると思ってお世辞言ってたけどもう限界!宝は慰謝料としてもらうからね!」

「鳥飼くんの言った通りだ。一枚岩の組織はない」

宝を前に本音むき出して揉め出す倉員と後藤に、冷静な感想を述べる響一郎。

彼の後ろで、「どっちを助けりゃいいんだ」とふて腐れる野見山。

「あんたなんかに宝物を独り占めさせない!」

怒った倉員が後藤をあらん限りの力で突き飛ばす。

その拍子に後藤の足が宝箱につまずき、石の箱が床からグラリと傾く。

ガコン!

「この音は!?先輩!来ます!」

「僕に掴まれ!鳥飼くん!」

魅亜の悲鳴に、響一郎は彼女をしっかりと抱きしめる。

空間全体がビリビリと振動し始める。宝箱の重みで押し下げられていた石柱がゆっくりと天井めがけ上昇する。

「今ので、最終トラップが発動したんです!地下は崩落します!」

「脱出するぞ!」

「でも、宝物が!」

「よせ!鳥飼くん!」

魅亜は響一郎の制止を振り切り、中央の宝箱に駆け寄る。

床や壁、石という石が轟音とともに砕け散り、崩壊する。凄まじい土煙
にまともに息ができない。

「これがないと田部井ちゃんが!」

魅亜がもう少しで宝箱に手が届きそうになった時、出し抜けに天井が魅亜めがけて落下してきた。