クールな完璧先輩は推し活女子を溺愛する

「菅原先輩!」

「鳥飼くん、もう心配はいらない。容子、お前は田部井さんの父親の件で彼女に圧力をかけ、鳥飼くんのプライバシーまで調べていたんだな。加えて鳥飼くん達への様々な嫌がらせ!お前のような意地悪で卑劣な女子との結婚など、僕は断じて承諾しない!婚約は破棄させてもらう!!」

魅亜が歓喜の声を上げると菅原邸から現れた響一郎は、仁王立ちのまま倉員を睨みつけた。

「き、響たんたら何のこと~?ヤダな、そんなに興奮しちゃって~。容子はただ、御手洗に立ったら玄関前が騒がしくて、何かな~って見に来ただけよ。ねえ~?田部井さん?」

「……」

「ねえ~?たべ」

「もうおしまいよ、全部」

「え?ちょっと!」

倉員は田部井ちゃんに調子を合わせるように目配せしたが、田部井ちゃんは彼女を一顧だにしない。

代わりに魅亜の顔をまっすぐに見つめていた。

「菅原先輩の言う通りだよ。あたし、ずっと倉員にお父さんの事で脅されていたんだ。隠し天女の話も倉員から聞いたの」

「た、田部井ちゃん……」

親友の思わぬ告白に、魅亜は絶句した。

「ごめん……ごめんね魅亜ちゃん。あたし、ずっと魅亜ちゃんを裏切ってた。もう、あたし達……友達には戻れないよ!!」

「田部井ちゃん!待ってよ!!」

田部井ちゃんはその場に居たたまれなくなって、魅亜の前から走り去った。

魅亜は泣いている田部井ちゃんを追いかける。

田部井ちゃんは足が速い。魅亜はとても追いつけない。それでも曲がり角で姿が見えなくなった親友の後ろ姿に、必死で追いすがる。

しかしその時。

キイイーーーイイ!!

住宅街の曲がり角で激しい自動車のブレーキ音が響く。

直後に何かが激しく激突する衝撃音が高級住宅地に響き渡った。