ともあれ、なぜ私の部屋の前で力尽きていたのかはそろそろ分かるとして、
部屋を間違えたと考えて間違いなさそうだ。
「あれ、ここどこだ。ん? ナツ? ん?」
幸助は混乱していた。
見るからに大混乱。
そしてむくりと体を起こした幸助は私を視界に収めると「ええっ! 誰⁉︎」と、開口一番まるっきりこっちのセリフを取った。
このやりとりから分かったことといえば、幸助が阿呆そうだということと、
男の子の名前が「ナツ」だということ。
改めて正面から見てこの幸助が、結構な美形であったことだ。
美形な阿呆を見て思うことはただ一つしかない。
天は二物を与えずってリアルにあるんだ!!
今まで、あれもこれも出来て、おまけに整った顔をして性格もいい! ていう人がテレビに出てたり、友人にいたりして思うところがあったのだ。
人間って不平等だと思う。持ってる人は山ほど持ってるのに。持ってない人はすっからかんなんだよ。極端すぎ。
でも、幸助のおかげで溜飲が下がった。
阿呆な美形がこの世に存在するなんて、人間的バランス感覚最強じゃん!



