庵歩の優しい世界



「ええ〜〜。庵歩ちゃんに会えないの?」

「しょうがないだろ、ナツ。看病は俺に任せなよ」


 幸助が胸をぽんぽんと叩き、誇らしげにする。
当たり前だが「幸助もきちゃダメですからね」


「………え、俺も?」

 予想だにしてないと言った顔だ。

「当たり前でしょ? 幸助にうつったらナツ君にもうつるかもしれないんですから。
まあそれより、とりあえず朝ごはん作ったんで食べましょう。昨日の看病のお礼です」


「そうですね、ずっといい匂いがしてお腹ぺこぺこです」
 

「いただきます!」


 三人、机について声を合わせて食べ始めた。


「朝はもっぱら菓子パンばっかりだったから、こういう朝ごはんってやっぱりいいですね。うん、美味しい!」


 幸助はベーコンを口いっぱいに頬張り、ナツ君は食パンにベーコンエッグを乗っけてオリジナルトーストにして食べている。


半熟の玉子からトロッと黄身があふれ、昨日の分まで補うためか私のお腹がギューっと鳴った。