「……それより」
よくこんな環境で1ヶ月も過ごせているな、ナツ君がほとほと可哀想でならない。
「ご飯は、荷解きの後にしましょうか」
「……ごはん、お預け?」
キュートなナツ君の呟きにも今日の私は流されない!
「ご飯はお預けです。こんなところで過ごしてたらナツ君の精神衛生上よくないですよ幸助さん」
「でも、ご飯食べてからじゃないと力が出ないよね、ナツー?」
「あ、ナツ君を味方につけようとするのずるいです!」
「僕、ちゃんと荷解きしてからご飯にするよ!だって庵歩ちゃんがそう言ってるから!」
よく言った、ナツ君!!
「ええ〜、ナツまでそんなこと言うの?」
幸助は口をへの字にして言った。
対照的にナツ君はしっかり腕まくりをして、やる気満々だ。
「仕方ない、俺もやるかあ」
幸助は肩を落として、とぼとぼ段ボールの封を開けた。
なんでこの家の住民が私よりも、荷解きをするのに消極的なんだよ。



