土曜日……

 白鳥さんの家の運転手の田中さんが迎えに来て、私は自宅から、出発した。
 田中さんにていねいに案内され、ドアを開けてもらう。
 緊張しながら乗り込んだのは、左ハンドルの大型高級外車。

 田中さんが運転席へ座り、発進する。

 ゆったりした車内はほとんど震動がない。
 運転手さん付きの大型高級外車……
 改めて白鳥さんの家は凄いと感じた。

 約15分ほど走るのだと私へ告げ、それから田中さんはず~っと無言。
 何も話さない。

 一方、私だって何もする事がない。
 書いているラノベ――作品の続きを考えたが、思い浮かばない。
 仕方なくあきらめて、白鳥さんが告げた言葉の意味を考えてみた。

 白鳥さんのお母さんが私に感謝?
 一体どういう意味だろう?
 確か、娘が買って来たラノベ『悪役令嬢』ものを取り上げて読みふけっているという面白いお母さん。
 娘の白鳥さんと姉、妹のように話していると聞いている。

 まったく答えが出ないまま、私は白鳥さんの家に到着した。

 白鳥さんの家は高級住宅街の一画にある。
 庭が相当広そうだ。
 見回せば、周囲も同じようなゴージャスな家ばかり……である。

 田中さんに先導され、その広い庭をしばらく歩いて行くと、3階建て!?
 外観が西洋風の大きな家が「でん!」と建っているのが見えた。
 玄関の前にふたりの女性が立っていた。

「ゆい~~!!」

 手を「ぶんぶん!」振っている白鳥さんと、お母さん……だ。

 私はそのまま歩き、田中さんとともにふたりの前に立った。

 おしゃれなワンピースを娘同様に着こなすお母さん………凄い美人。
 白鳥さんがおとなになったって感じ。
 ウチのお母さんと同じ年齢らしいけど……全然そう見えない。
 若い!!

 白鳥さんのお母さんは、私に向かって、あでやかに微笑みかける。

「あなたが、三島結(みしまゆい)さんね。礼華の母の白鳥あやかと申します。娘がいつもお世話になっています」

「は、はいいっ! は、は、初めましてっ! み、三島結と申しますっ! 白鳥さんは……私の! だ、大事な友だちなんですっ!」

 お母さんの放つオーラに、完全にのまれた!?私は、かみながらも、必死に挨拶をしていたのである。