祝日の日……
 今日は白鳥さんが遊びに来る日。

 家にいるのは私とお母さん。
 お父さんは出張で留守である。

 今や親友となった白鳥さんが遊びに来ると伝えたら、お母さんはびっくり。

「えええ? お前の友だちがウチへ遊びに来るなんて」
 
 そして、

「えええっ!? 大きな会社の社長令嬢って、本当!?」

 あの……何度も驚きすぎだって、もう!

 という事で、午前10時30分。

 ピンポーン!
 自宅のチャイムが鳴った。

 インターフォンのモニターに映ったのは白鳥さん。
 あと……
 見知らぬ初老の、品が良さそうな男性がひとり、彼女に寄り添うように立っていた。

「わ! 来たよ、ホントに来た。お嬢様が! や、やっぱり可愛い子だねぇ!」

 あは!
 モニターをのぞき込んだお母さんの方があわてている。
 3度目のびっくり。

 苦笑した私はお母さんを私は、(うなが)す。

「だね! 玄関へ迎えに行こう」

 かちゃり。
 開錠し、ドアを開ける。

「ゆい! 来たよおっ!」

 響く明るい声。

 わ!
 素敵なワンピース。
 シックなデザイン。
 多分、ブランドものだろう。

 いつもの制服姿とはまったく違う。
 流行(はや)りの服を素敵に着こなした笑顔の白鳥さんが立っていた。

 傍らに立っていた初老の男性が綺麗な紙袋の大小ふたつを、白鳥さんへ渡した。

「お嬢様。午後5時にお迎えに上がります」

「ありがとう。お願いします。お疲れ様」

「白鳥家の運転手で、田中と申します。三島様とお母様、礼華お嬢様をよろしくお願いいたします」

「は、はいっ!」
「礼華さん、お時間までお預かりいたしますっ!」

 田中と名乗った運転手さんは深く一礼すると、ゆっくりと去って行った。

 白鳥さんは私とお母さんへ向き直る。
 あらら、表情が一変している。
 ひどくまじめな雰囲気だ。

「お母様、初めまして、白鳥礼華と申します。ゆいさんには普段、とても良くして頂いております。本日は宜しくお願い致します」

「は、はいぃぃっっ! ゆ、ゆいの! は、母でっ! み、三島、よ、陽子(ようこ)ですっ! こ、こ、こちらこそっ! よ、宜しくお願い致しますっ!」

 しっかりきっちりと挨拶をした白鳥さんに……
 私のお母さんは、ただただ圧倒されていたのである。