「わーかなさんっ!」

 そこへ恭介くんが声をかけてくる。

「若菜さん、おつかれ。この後は何に出るの?」

「私は……二人三脚と借り物競争だけだから、後は何も無いよ」

 答えると、恭介くんはニヤリと笑った。

「ふーん、それじゃ、午後はずっとヒマなんだ?」

「うん、卓球にサエちゃんが出るから、その応援に行くぐらいかな」

「そっか。じゃあ俺も昼のバレーまでヒマだから、一緒に卓球の応援に行こうかな」

 え……ええ!?

「何でだよ」

 がっしりと恭介くんの肩をつかんだのは八乙女くんだった。

「や、八乙女くん!?」

 恭介くんはニヤニヤしながら後ろを振り返る。

「んー? どうしたの、八乙女。俺はただ、また若菜さんが怖い目にあったら大変だからついて行ってあげようかと思ったんだけど?」

「それなら、俺も行くよ。この前の出来事は俺のせいだし」

 八乙女くんは私の方へ視線を向けた。

「ね、いいよね、若菜さん」

「う、うん。いいよ」

 私が戸惑っていると、サエちゃんがそばにやってきてフフフ、と笑った。

「おやおや、修羅場かな? モテる女は辛いね」

「もう、そんなんじゃないから!」

 八乙女くんが好きなのは恭介くんなの。
 私はただの友達なんだから!