「さて、二人三脚も終わったし、次は借り物競争だね」

 サエちゃんがパンフレットを開く。

「ふーん、二人とも借り物競争出るんだ。頑張って」

 恭介くんがひょいとパンフレットをのぞきこんでくる。

「ありがとう」
「かったるいけど頑張るわ」

 すると担任の先生が私たちを手招きする。

「あんたたち、何やってるの。借り物競争始まるわよ!」

 わあ、もう次、始まるの? 忙しいなあ。

「はい!」
「今行きます!」

 私とサエちゃんが先生の元へと駆け寄ると、先生は八乙女くんと恭介くんを手招きした。

「先生、何ですか?」
「どうしたんスか?」

 不思議そうな顔でこちらにやってくる二人。

 先生は困った顔でため息をついた。

「実は、借り物競走に出る予定だった男子のうち一人がケガしちゃって。あなたたち、どちらか代わりに出てくれないかしら」

 八乙女くんと恭介くんが顔を見合わせる。

「……じゃあ、俺が」

 スッと八乙女くんが手を挙げる。

「じゃあ、決まりね、ありがとう」

 ホッとした顔をする先生。

 八乙女くん、優しいな。

 でもこれで四種目出ることになるけど、八乙女くん、大丈夫かな。

 そんなことを考えていると、八乙女くんは私に微笑んだ。

「借り物競走、頑張ろうな」

「う……うんっ!」

 ひゃあ、可愛い笑顔!

 胸がバクバクと苦しくて、私は思わず目をそらした。

「それじゃ、俺は応援してるから頑張れよー」

 恭介くんが手を振る

「うん」
「頑張るね」

 私とサエちゃん、八乙女くんは借り物競走のスタート地点へと向かった。