バンバン、と晴天の空に狼煙(のろし)があがる。

 そんなこんなで恭介くんとの特訓もこなし、いよいよ今日は体育祭当日。

「若菜は何に出るんだっけ?」

 サエちゃんが聞いてくる。

「二人三脚と借り物競争だけだよ。サエちゃんは?」

「二人三脚と借り物競争と卓球。かったるいわ」

 いかにもやる気がないという顔をするサエちゃん。

 だけどサエちゃんは卓球も上手いし足も速いしんだよね。羨ましい。

「たしか二人三脚が一番最初に始まるんだっけ」

 サエちゃんが体育祭のパンフレットを開く。

「うん、急ごっか」

 サエちゃんと一緒に二人三脚のスタート地点に向かう。

「おーい、こっちこっち!」
「二人とも、お疲れさま」

 スタート地点に行くと、八乙女くんと恭介くんが手を振って出迎えてくれる。

「頑張ろうな! 絶対に一位、取ってやろうぜ!」

 恭介くんがガッシリと私の肩を抱いてくる。相変わらず熱いなあ。

「あ、あはは……そうだね……」

 私は一位なんて取る気ないんだけど……。

 私が苦笑いをしていると、不意に八乙女くんと目がバッチリと合った。

「頑張ろうね」

「う、うん」

 思わず目をそらす。
 どうしよう。目が合っただけでドキドキしちゃう。

 あきらめるって決めたのに。八乙女くんの恋を応援するって決めたのに。どうしてだろう。