「痛たたたた……」

「大丈夫?」

 先に立ち上がった恭介くんが私に手を差し伸べてくる。

「うん、大丈夫。ありがとう」

 恭介くんの手を取り立ち上がると、少し引きつった顔をした八乙女くんと目が合った。

 やっぱり。

 間違いない、あれは嫉妬の目だ。

 あんな顔をするなんて、そんなに恭介くんのことが好きなんだな……。

「それじゃ、もう一度やってみようか」

「うん」

 再び二人で走り出す。

 だけど、今度は五歩ほど歩いた辺りでつまずいてしまった。

「痛たたた……」

「大丈夫?」

 恭介くんが優しく声をかけてくれる。

 横を見ると、八乙女くんとサエちゃんは、苦もなく二人三脚でコースを一周していた。

 すごい、息ぴったり。

「すげー。初めてなのにあんなに走れるもんなの?」

 恭介くんが目を見開く。

「……だよね。私のせいで全然上手くいかなくて……ごめんなさい」

 私が頭を下げると、恭介くんは慌ててフォローした。

「そんな、あいつらが凄いだけで、初めから上手くいかないのが当然なんだって。俺らは俺らなりに、これから頑張っていけばいいじゃん?」

「恭介くん……」

 恭介くん、ほとんど話したことのない私にも気さくだし、前向きで明るくて――八乙女くんが好きになるのも分かるな。

 オマケにバスケも上手くてカッコイイし、バスケ部のクール王子とワイルド王子、お似合いかも。