だけど私が文句を言う前に、恭介くんは強引に話を進めていく。

「よし、じゃあ決まり。とりあえず連絡先交換しよっか」

「う……うん」

 まさか嫌とも言えず、とりあえず連絡先を交換する。

 アプリの友達リストに、恭介くんの名前とアイコンが加わった。

「……恭介?」

 私と恭介くんが向かいあってスマホの操作をしていると、いつの間にか八乙女くんが後ろに立っていた。

「わっ、八乙女くん!?」

「恭介、何で若菜さんと……」

 少し怖い顔をした八乙女くん。

 や、やっぱり。

 八乙女くん、私が恭介くんと話してたから嫉妬してるんだ!

 これは間違いない。やっぱり八乙女くんは恭介くんのことが好きなんだ……。

「何って、連絡先の交換だけど? ほら、俺と若菜さん、二人三脚で一緒になったから」

「ああ……」

 何となく冴えない顔をした八乙女くんに、ニヤニヤしながら恭介くんが詰め寄る。

「何? 俺が若菜さんと連絡先を交換しちゃまずいの? 八乙女だって、若菜さんと連絡とってるでしょ」

「別に、悪いとかじゃないけど……」

 ごにょごにょと言い、横をむく八乙女くん。

 や、やめてよ恭介くん。

 八乙女くんが好きなのは、私じゃなくて恭介くんなんだよ!

 私がオロオロとしていると、恭介くんがポンと私の肩を叩いた。

「それじゃあまあ、明日の朝から朝練しようか。よろしくな!」

「う、うん……」

 朝練かあ。気が重いなあ。

 でも、恭介くんはやる気マンマンみたいだし、がんばらないと。