乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~

「あの……着替えました」

 ワインレッドのワンピースに身を包んだ私は、恐る恐る試着室から出た。

「あー、お疲れ様。どうだった? 大きくなかった?」

「はい、ちょうどいいです。でも……」

 私は鏡をチラリと見た。

 ワインレッドの可愛らしいワンピースを着た私は、全然似合ってない。

 顔だけ貼り付けてコラージュ写真にしたみたいに、浮き上がって見える。

 はあ。やっぱり、私みたいな地味な女じゃこういう服は似合わないんだ。

 八乙女くんのお姉さんたちみたいに美人じゃないと――そう思い肩を落としていると、夢さんが私を手招きした。

「何やってるの。早くこっちにおいで。メイクしてあげる」

「メイク、ですか?」

 今どきの高校生にしては珍しいのかもしれないけど、お化粧なんて一度もしたことがない。大丈夫かな。

 私が不安に思っていると、夢さんは笑った。

「素顔のままでロリータが似合う人なんていないよ。メイクしないと、大概の人はお洋服に顔が負けちゃうから」

「そうなんですか? 夢さんみたいにキレイな人でも?」

「そ。メイクもなしにロリータが似合う人間なんていないよ。可愛くなるには努力が必要なの」

「そうなんですね……」

 メイクしないとドレスに顔が負けちゃうなんて、なんて凄いお洋服なんだ……。

「はい、できた!」

 あっという間にメイクを終え、夢さんが金髪のウイッグを被せてくれる。

 私は恐る恐る鏡を見た。

「わあ……!」

 鏡の中には、まるでお人形さんみたいな姿になった自分がいた。

「す、すごい……自分じゃないみたい」

 目もぱっちり大きくなってるし、鼻筋も通ってるし、メイクの力ってすごい。

「かなでちゃん、元々、目鼻立ちは悪くないし、すごくお化粧映えする顔だったからね。ほら、蓮も見て見て!」

 夢さんに呼ばれて八乙女くんがやってくる。

「……ど、どうかな?」

 ドキドキしながらロリータ姿を見せると、早乙女くんは大きく目を見開いた。

「……わ、いつもと全然違う」

 だけど、思ったより反応は薄い。

「でしょでしょ? 可愛いでしょ?」

「うん、まあ、ね」

「まーたまた! 照れちゃって!」

 夢さんが八乙女くんの背中をバンバンと叩くと、八乙女くんは耳を真っ赤にした。

「ち、ちがうよ。ただ単に僕はいつもの若菜さんのほうが――」

「いつもの方が?」

 夢さんがキョトンとした目で尋ねる。

「――い、いつもの方が良いって思うだけ」

 八乙女くんは、照れたように横を向いた。