「お姉さんって、いくつなの?」

「一番上が二十五で、次が二十歳、一番下が十八」

 八乙女くんがサラリと答える。

「へ、へえ。それはすごいね」

 お姉さんが三人かあ。
 なるほど、それじゃ、八乙女くんが乙女趣味になるのも無理は無いのかな。

 私がふむふむと納得していると、ガラリとドアが開いた。

「蓮くーん、帰ったの?」

 中から出てきたのは、制服を着た長い黒髪の女の子と、パッツン前髪でツインテールの金髪女子。二人とも超美人。

「あ、八乙女くんのお姉さんですか? こんにちは!」

 あわてて頭を下げると、黒髪の女の子はギョッと目を見開いて固まり、金髪の女の子は「きゃあ!」と声を上げた。

「お、お、お、お姉ちゃーん! 蓮くんが」
「れ、れ、蓮くんが、女の子を連れてきたっ!」

 バタバタと奥へ走っていく二人。

 私がキョトンとしていると、少しして奥から茶髪でボブヘアーの美人が出てきた。

「うわ、本当だ!」

 ボブヘアーの美人さんは私を見て目をまん丸に見開くと、慌てて手ぐしで髪を整えた。

「は、はじめまして。礼の姉の(はな)です」
(ゆめ)です」
(うみ)です」

 三人が頭を下げる。

「こ、こんにちは! 若菜かなでと申します」

 カチンコチンになりながら挨拶をすると、一番上のお姉さん――華さんがじっと私を見つめた。

「かなでちゃんかあ……ふーん」

 な、なんだろう。やけにじっくりと見られてるなあ。

 もしかして、「なによ、この地味な子は。うちの弟に釣り合わないわ」とか思われてる?

「あ……あの」

 私が戸惑っていると、華さんはニコリと笑い親指を立てた。

「うんうん、中々素朴で可愛い感じじゃない!? お化粧したら一気に化けそう!」

「は……はあ」

 困惑している私の腕を、華さんはぐいっと引っ張った。

「こっちに来て。あなた、お洋服には興味ある? 私の作った服、着てみない!?」

「ふ、服??」

「ああ。姉さんたち、ロリータファッションのブランドを経営してるんだ」

 八乙女くんが教えてくれる。

「そ、そうなんですか。すごーい!」

 ロリータのブランド!?

 よく分からないけど、すごい!

「私たちの作った服、見てみる?」

 ニコリと華さんが笑う。

「は、はいっ、ぜひ。見てみたいです!」

「うん、おいでおいで」
「こっちだよ」
「ゴーゴー!」

 私は華さんたちに腕を引っ張られるがまま、奥の部屋へと入った。