「ねぇねえ、今日の帰りどっか寄らない?」

 放課後、私がカバンに教科書を詰めているとサエちゃんが提案してくる。

「うん、いいよ」

「じゃあさ、久しぶりにアニメショップに行ってみるのはどう?」

「いいけど、何か欲しいグッズでもあるの?」

 私が首をかしげていると、サエちゃんは「じゃーん」と制服のポケットからメモを取り出した。

 そこにはアニメキャラの名前がズラリ。

「えーっと、これは……」

「これ? これはね、八乙女くんがコスプレしたら似合いそうなキャラクターのリスト」

 ふっふっふ、と笑うサエちゃん。

「今日はこれから、八乙女くんに似合いそうな衣装を見に行きたいと思うんだけど、どう?」

 もう~!

「えっ、いや、まだ八乙女くんがコスプレするって決まったわけじゃ……」

 その前に、付き合ってもないし!

「分かってるって。でも、コスプレ衣装売り場に行って、どのキャラが似合いそうか想像するだけでも楽しそうじゃない? ほら、今日発売のマンガも買わなきゃいけないし、そのついでよ、ついで!」

「ま、まあ、それなら……」

 私は頭の中で王子様のコスプレをする八乙女くんの姿を想像してみた。

 に……似合いすぎる!

 自然に顔がニヤケてしまう。

 八乙女くん、背も高いし、顔もスタイルも良いから何を着ても似合いそうなのが怖い!

「じゃあ、決まりね!」

 勝手に盛り上がるサエちゃん。

 もう、サエちゃんったら気が早いんだから!