私は悩んだ末、サエちゃんに八乙女くんとのことを打ち明けてみることにした。

 辺りをキョロキョロと見回し、誰にも聞かれてないことを確認してコソッと打ち明けた。

「うん……実はその日、八乙女くんと出かける約束をしてて」

「えっ、八乙女くん!?」

 サエちゃんが思ったより大きな声を出してしまったのでビクリとする。

「し、しーっ!」

 私は慌てて人差し指を立てた。

 ラッキーなことに、他のクラスメイトに何か気づかれたような様子は無いみたい。

 ホッと安堵の息を吐く。

「実は最近、よく二人で遊びに行ってて……」

「えーっ、最近、仲良いとは思ってたけど、八乙女くんと付き合ってたの?」

「ううん、付き合ってるわけじゃないんだけど……」

 私は八乙女くんと本屋で同じ本を手に取ったことをきっかけに仲良くなったことや、休みの日に何回か二人で出かけていることを話した。

 もちろん八乙女くんが乙女趣味であることは内緒にしてだけど。

 私が話し終わると、サエちゃんはキラキラと目を輝かせた。

「えーっ、それってデートじゃん」

 サエちゃんの言葉にドキリとする。

「いや、デートってわけじゃ……」

 ただの乙女チック同盟の活動だし!

「いやいや、それ絶対、八乙女くん若菜に気があるって」

「えーっ、そんなバカな」

「いや、その気がないと、そんなに毎回二人で遊びになんて誘わないって」

「そ、そうかな……」

 毎回二人きりで遊びに誘うのは気があるから……?