死なないあたしの恋物語

その嬉しさが涙になって頬を流れていくまで、時間はかからなかった。


「こんなことになるなら、あたし中学生をするんじゃなかったかな」


学生としてでなく、街とかで洋人君と出会っていれば記憶を改ざんする必要だってなかったのに。


「なんでそんなこと言うんだよ。俺は千奈とクラスメートになれて嬉しいのに」


少し膨れっ面になっていう洋人君に、笑ってしまう。


「そうだね、あたしも嬉しい」


そう言ってから、また真剣な表情に戻った。


「でもね、あたしは永遠の13歳だから学年をあがることはできないの」


「え?」


「不老不死の魔女がみんなの記憶を改ざんできることは知っているよね?」


「あぁ。え、まさか……」


察して、洋人君が目を大きく見開いた。


その目にあたしの姿が映っているのがわかって、嬉しくなる。


キャンバスの中じゃなくて、本物の洋人君があたしを見てくれている。


「あれ、本当なんだよ」


あたしの言葉に洋人君は口をポカンとあけて硬直してしまった。


「あたしはみんなの記憶を改ざんして、今渡中学校に通っているの」


「嘘だろ。1年生の頃から千奈の名前くらいは聞いたことがあった」


あたしは左右に首をふる。


「それも、改ざんされた記憶。真夏や綾と親友だっていうのも、全部あたしが学生生活をスムーズに送るためのもの」