「ご、ごめん。迷惑だったよね」


そう言うと、洋人君は驚いたように目を丸くし、左右に首を振った。


「なに言ってんの。俺、あの声援を聞いて頑張ったんだけど?」


「え、本当に……?」


そろそろと顔を上げると、洋人君が真剣な表情でうなづいた。


「ほんと、ありがとうな。ってか、どうしてここで試合があるって知ってたんだ?」


聞かれて、あたしは素直に真夏から話を聞いたことを説明した。


洋人君はそれで納得したようにうなづく。


「ここでちょっと待ってて、荷物だけ取ってくるから」


そう言うと、洋人君は足早にミニバスへとかけていく。


「あっ!」


声をかけようとしたけれど、それはもう、届かなかったのだった。