「俺、この写真を見たときにこの人に恋をしたんだ。まだ幼稚園の頃だったけれど、なんて可愛い人なんだろうと思って。そっか、これ千奈だったんだな」
洋人君が頬を染め、嬉しそうに言う。
「恋?」
「そうだよ。だからどうしてもじいちゃんからこの人のことを聞き出したかったんだ。それが、こんな風にして出会えるなんて奇跡だよ!」
洋人君はあたしの手を握り締め、目をかがやかせて言う。
奇跡……。
確かに、あたしは洋介君の孫が洋人君だなんて知らなかった。
どこか似ているとは感じていたけれど、ただそれだけ。
同じ血筋の人を好きになるなんて、とても珍しいことかもしれない。
兄弟ならともかく、おじいさんと孫だなんて……。
「ごめんなさい。あたしがちゃんと記憶を消せていなかったから、そんな風に写真を残して痛んだと思う」
「いや、それは違うよ」
「え?」
「じいちゃんは本当に写真の中の千奈のことを忘れていたんだと思う。それでも捨てられず、時々写真を眺めていたんだ」
「どうしてそんなことをするの? あたしのことを忘れていたのなら、写真だって捨ててしまえばいいのに」
あたしの言葉に洋人君は首を振った。
「なんていうのかなこういうのって理屈じゃないんだと思うんだ。記憶は消されても心に残るっていうかさ」
心に残る……。
あんな別れ方をしてしまったのに、洋介君はあたしのことを心にとどめておいてくれたのだろうか。
あたしは無意識のうちに左手首をきつく握り締めていた。
古い傷がかすかに痛む。
血を見たときの洋介君の表情を思い出し、胸の奥がうずくようだった。
洋人君が頬を染め、嬉しそうに言う。
「恋?」
「そうだよ。だからどうしてもじいちゃんからこの人のことを聞き出したかったんだ。それが、こんな風にして出会えるなんて奇跡だよ!」
洋人君はあたしの手を握り締め、目をかがやかせて言う。
奇跡……。
確かに、あたしは洋介君の孫が洋人君だなんて知らなかった。
どこか似ているとは感じていたけれど、ただそれだけ。
同じ血筋の人を好きになるなんて、とても珍しいことかもしれない。
兄弟ならともかく、おじいさんと孫だなんて……。
「ごめんなさい。あたしがちゃんと記憶を消せていなかったから、そんな風に写真を残して痛んだと思う」
「いや、それは違うよ」
「え?」
「じいちゃんは本当に写真の中の千奈のことを忘れていたんだと思う。それでも捨てられず、時々写真を眺めていたんだ」
「どうしてそんなことをするの? あたしのことを忘れていたのなら、写真だって捨ててしまえばいいのに」
あたしの言葉に洋人君は首を振った。
「なんていうのかなこういうのって理屈じゃないんだと思うんだ。記憶は消されても心に残るっていうかさ」
心に残る……。
あんな別れ方をしてしまったのに、洋介君はあたしのことを心にとどめておいてくれたのだろうか。
あたしは無意識のうちに左手首をきつく握り締めていた。
古い傷がかすかに痛む。
血を見たときの洋介君の表情を思い出し、胸の奥がうずくようだった。



