殺人感染

灰色の目があたしを捕らえたのがわかった。


「あ……」


まずいと思ってもやっぱり体は動かない。


背中にブワッと汗が溢れ出す。


幸子がこちらへ向けて歩き出した。


ダメ。


逃げなきゃ。


こっちに来ちゃう!


目の前に机に手をついて立ち上がろうとする。


しかし、完全に腰が抜けてしまって立ち上がることもままならない。


幸子がどんどん近づいてくるのが見える。


その手に握られてカッターナイフには血がついたままだ。


あ……ダメだ。


このままじゃ本当に……。


そう思って呼吸が止まったときだった。


目の前に背中が現れた。


「来るな!!」


あたしをかばうように立ちはだかって叫んだのは純也だった。