こうして、私の1日は終わっていく。


私が家に帰れば家族が待ってくれている。


そんな幸せな生活が続くと思っていた。


この先も、ずっと……。


その知らせが届いたのは授業がすべて終わり、職員室でテストの採点を行っているときのことだった。


「香西先生。隣の東山小学校から電話です」


電話に出てくれた女性教師が声をかける。


「あ、はい」


娘が通っているから、知り合いの教師から連絡がくることはある。


でも、それはたいてい私のスマホにかかってくるもだった。


こうして仕事場にかけてくることはほとんどない。


そのことが脳裏を掠めて、一瞬嫌な予感がよぎった。


まさかアキナになにかあったんじゃ。


しかし私はその考えをすぐにかき消した。


東山小学校も同じくらいの時間に終わるから、アキナはすでに家に戻っているはずだ。


きっと普通に仕事の用事に違いない。


そう思い直して電話に出た。


「お電話変わりました。香西です」


言った瞬間向こうから切羽詰った男性の声が聞こえてきた。


『香西大変だ! アキナちゃんが交通事故に遭った!』


それは間違いなく、私の知り合いの教師からの電話だった。