「うっ……」


立ち尽くしていた樹里はどういう状況なのか理解し、部屋の角に走ったかと思うと吐いてしまった。


そのくらい強烈な光景と臭いだった。


「し、重行、なんで!?」


「あたしが殺した」


あたしは真っ直ぐに樹里を見つめて言った。


「え……?」


「あんたたちはあたしの友達を殺した。だから同じことをしただけ」


樹里はあたしの言葉の意味が理解できないようで、視線をうろつかせている。


「まだわからないの? 伊代はあたしの友達だった」


そう言うと樹里は「あっ」と小さく呟き、そしてその場に座り込んでしまった。


「嘘……」


「嘘でこんなことまですると思う?」


あたしは重行の体を蹴って言った。


重行は大きくぐらついたけれど、それでも崩れ落ちることはなかった。


ただ、体内にたまっていたガスが口から抜けて出ただけだ。


「か、一樹!?」


樹里は這うようにして一樹に近づいた。


一樹まで死んでいるのではないかと、心配になったみたいだ。


一樹は樹里に名前を呼ばれて、はじめてあたしたちがここにいることに気がついたみたいだ。


「樹里……」


「よかった、生きてた!」


樹里が一樹にすがりつく。


どうやら樹里の方は本気で一樹のことが好きだったみたいだ。