☆☆☆

あたしと樹里は学校を出ると、そのまま廃墟へと向かった。


人をイジメた人間がどうなったか、その目にしっかりと刻ませてやるつもりだった。


樹里はあたしの後をついて歩きながらブツブツと文句を言っている。


それを無視して、あたしは廃墟へと足を踏み入れた。


「なにここ。気味が悪いんだけど」


周囲を見回してマユを寄せる樹里。


あたしはそんな樹里の背中を押すようにして前を歩かせた。


衝撃は、できるだけ大きいほうがいい。


ドアの前まで来ると樹里に開けるように命令した。


「え、嫌だよ」


「早く!」


後ろから樹里の背中を叩くと、樹里はしぶしぶドアを開いた。


その瞬間人間の腐敗臭やアンモニア臭がただよってきて、手で口を塞ぐ。


「え……」


樹里は目の前の光景に唖然として立ち止まってしまった。


後ろから中の様子を確認してみると、やはり一樹はここにいた。


座り込んだまま少しも動いていない。


まるで自らに規制をかけているようにも見えた。


そしてその向こうには腐敗が始まった重行がいまだに立ち尽くしている。


足が腐敗して上半身が崩れ落ちてくるんじゃないかと不安になる。