中を確認してみると免許証があり、そこには谷津先生の名前と写真が印刷されていた。


本当に谷津先生なんだ……。


「本当に本人みたいだな」


郁乃の拘束を解き終えた久典が隣に立って言った。


「でもどうして? 事故に遭ったんでしょう?」


聞くと谷津先生はあたしを見上げた。


「事故なんて嘘よ。私はあの頃からテスターとして動き始めたの」


「どうしていきなりそんなことをしようとしたんだ」


久典の言葉に谷津先生は鼻で笑った。


「いきなり? いきなりなものですか。私はず~っとテスターになりたかった。なろうと思ってたのに!」


ずっと……?


あたしは後ずさりをして谷津先生から距離を置いた。


こんな異常なことをずっとやりたかったなんて、どういうことだろう。


「あんたたちのせいよ! あんたたちが、私をバカにするから……!!」