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それから授業が始まっても実に入らず、先生の声は右から左へと流れていくばかりだ。


俺は暇さえあればスマホを確認した。


「おい久典、そんなに気にしても仕方ねぇじゃん」


休憩時間になって友人が声をかけてくる。


その表情はさほど心配していないように見えて、憤りを感じた。


3人も同時にいなくなっているのにどうしてそんなのうのうとしていられるんだという感情がわきあがってくる。


でも、みんなからすれば3人が同時にいなくなったからこそ、危機感がないのだろう。


「ごめん。俺千紗を探しに行くから」


もしかしたら学校内にいるかもしれない。


その可能性は極めて低いことはわかっている。


すでに昇降口に千紗の靴がないこともわかっていた。


それでも、のんびりしていられなくて、俺は一人で教室を出たのだった。