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それから俺たちは覚えのある場所をすべて見て回った。


一緒に行ったゲームセンター。


ボーリング場にカラオケ。


それにショッピングセンターや神社まで。


しかしどこにも千紗の姿はなく、気がつけば12時が回っていた。


「つき合わせてしまった悪かったね」


家まで送ってくれた千紗の父親は申し訳なさそうに言った。


「いいえ。何もできなくてすみません」


千紗からの連絡はいまだになく、不安が胸に膨らんできていた。


でも、俺よりもこの2人のほうがよほど心配しているはずだから、できるだけ顔には出さないようにした。


「いや。久典君のおかげで千紗が遊んでいた場所がわかったし、助かったよ」


「そうね。明日の昼間、また探しに行ってみましょう」


玄関に入る前にふと思い出したことがあって立ち止まった。


「実はひとつだけ気になることがあるんです」


「なんだい?」


「なにも関係ないと思うんですけど、学校でテスターっていう都市伝説を聞いたんです」


俺はおずおずとテスターについて説明した。


こんな話をしても千紗と繋がるものはないと思うが、こういう噂が立つと言うことは近所に不審者が出ているということかもしれない。


「そうか。そんな都市伝説があるんだな」


千紗の父親は顎に手を当てて考えこんだ。