勢いあまって椅子ごと横倒しに倒れてしまった。


テスターはその様子を見て楽しげに肩を震わせて笑う。


「美少女の顔が歪む姿って、何度見ても楽しいののよねぇ」


ゆっくりと近づいていくのも、わざと栞を怖がらせているからだろう。


「あなたの髪の毛、とっても綺麗ね。日本人形みたい」


テスターが倒れている栞の隣に膝をついて座り、その髪に触れた。


「触らないでぇ!!」


栞は首を振ってどうにかテスターに触れられないように必死になる。


テスターはそんな栞の前にナイフを突き出した。


「ひっ」


栞が小さく悲鳴を上げて動きを止めた。


「これで頭皮を剥ぎ取って、私のものにしてしまいましょう」


テスターはわざとらしく栞へ向けて説明し、それから栞の髪の毛を掴んで上を向かせた。


「いやぁ!! やめて! そんなことしたら死んじゃう!」


その通りだ。


いくらなんでも頭皮を引き剥がされて平気でいられるわけがない。


あたしだって今、意識を飛ばさないようにするだけで精一杯なんだから。