「テスターって、あのテスター?」


栞が震える声で言う。


女はうなづいた。


その反応にあたしと智恵理は目を見交わせる。


さっきまでの恐怖心が一気に解けていくのがわかった。


SNS上でも知られていない『テスター』。


あれを作ったのはきっと郁乃だ。


そして『テスター』の話を聞いていたのはB組のクラスメートたちだけ。


つまり、この包帯女はクラスメートの誰かということになる。


一番高い可能性は郁乃だ。


あたしは呆れて包帯女を見つめた。


あたしたちをびびらせるためにここまでするなんて、相当暇なのだろう。


「わかった。テスターは十分怖かったから、拘束を解いてくれない? 今ならまだ先生に言わないでおいてあげるから」


あたしはゆっくり包帯女へ向けて言った。


できるだけ刺激せず、優しくだ。


こんなことをしてしまうなんて、このクラスメートは相当あたしたちに僻みがあるのだろう。