気がつけば、女はあたしたちの目の前に立っていたのだ。


あ、ヤバイかも。


そう思って腰を浮かしたのと、女があたしに何かを押し付けてくるのが同時だった。


腕に押し当てられた黒く四角いものから強い衝撃が全身へ走る。


「うっ!?」


悲鳴を上げることもできず痛みに体をそらせ、そして倒れこんだ。


ビリビリとした痛みが脳天に突きつけて、意識が遠ざかっていく。


あたしが倒れたことでようやく2人が逃げようと動いた。


それでも、女のほうが動きは早かった。


智恵理が、そして栞が次々に倒れておくのを薄れていく意識の片隅であたしは見ていたのだった。