「千紗は本当に彼氏大好きだけど、それでいいの?」


栞にそんな疑問を投げかけられてあたしは首をかしげた。


それでいいって、どういう意味だろう。


「千紗には沢山の男の子が近づいてくるのに、彼氏1人に時間を使っていいの?」


栞が噛み砕いて言い直す。


あたしは大きくうなづいた。


「そんなのあたりまえじゃん!」


どれだけカッコイイ人に好かれても、相手のことを好きになれなきゃ意味がない。


それなのに2人はまた呆れたようなため息を吐き出した。


ん?


あたし、なにか変なこと言った?


首をかしげていると、噂にあがっているあたしの彼氏、守屋久典(モリヤ ヒサノリ)が登校してきた。


教室に入ってすぐあたしの机へ視線を向け、ニッコリと笑顔を見せて近づいてくる。


この一連の動作は毎朝変わらないものだった。


「おはよう千紗」


「おはよう久典」


スラリと高い背に白い肌。


整った顔のパーツ。


久典のそう見た目も好きだったけれど、やっぱり中身が大切だ。


久典は勉強もできるし、友達思い。


もちろん、あたしのことも大切にしてくれる人だった。


まさしくあたしにふさわしい男子!