「だよね! わざわざ98点の答案用紙見せてきて、千紗の点数大声で言うとかさぁ。性格悪すぎじゃん?」


栞もご立腹だ。


「まぁ、こんなところでしかあたしたちに勝てないからでしょ」


あたしはプリントを睨みつけて答える。


一応さっきから頑張っているつもりなのだけれど、1問も解けない。


わけのわからない数式に目が痛くなるばかりだ。


「千紗もなかなか言うじゃん」


智恵理がそういって笑ったときだった。


教室前方のドアが開いたかと思うと、顔に包帯を巻いた女性が入ってきたのだ。


スラリと背が高く、パンツスーツ姿のその人は包帯の奥から充血した両目をのぞかせている。


「だれ?」


栞が眉間にシワを寄せて聞いた。


包帯女にそれには答えず、あたしたちに近づいてくる。


スーツ姿だから先生かな?


それにしても、顔もわからないくらい包帯を巻いているなんてどうして?


疑問が先立って動けなかった。


3人とも不振なその人物に視線を釘付けにされる。