テスター

☆☆☆

「テストできた?」


数学の授業が終わってすぐ、智恵理が近づいてきた。


「できるわけないでしょ」


あたしは欠伸をかみ殺して答える。


「だよね、よかったー」


どうやら智恵理もできなかったみたいで、胸をなでおろしている。


ひとりで放課後残るのは嫌だから、仲間がいて安心したみたいだ。


「うぅ……、テスト全然できなかったよぉ」


泣き顔で近づいてきたのは栞だ。


「どうしたの栞、テストができなかったくらいで、どうして泣いてるの?」


あたしは驚いて聞いた。


勉強ができなくて泣くような性格じゃないと、知っている。


「だって、今日は憧れの先輩と同じシフトだったのにぃ」


栞が泣いている原因はバイトにいけなくなったことにあるらしい。


「憧れの先輩って?」


「大学生の人で、カッコイイ人がいるの」


智恵理が栞の変わりに答えてくれた。


なるほど。


2人がバイト熱心な理由がわかった気がした。


時々『お客さんからのナンパがうっとおしい』と言いながらも、サボらずに出勤している姿に疑問を感じていたのだ。