「すっごい綺麗」


「可愛いよねぇ」


「このクラスでダントツじゃん」


そんな声が聞こえてきて、飯田さんはテレながら先生に教えられた席へ向かう。


そこは久典の隣の席で一瞬だけ嫌な予感が胸をよぎった。


横目で確認していると飯田さんは久典に教科書を借りている。


転校してきたばかりで教材がそろっていないのだから当然のことだった。


それでも、胸に広がっていく黒い感情。


あたしはその感情を見てみぬふりをして、先生へ視線を戻した。


どこからか「千紗があんなふうになっちゃったから、飯田さんもラッキーだよね」


という言葉が聞こえてきた……。