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それから20分後、噂通り転校生はこのクラスにやってきた。


このタイミングでの転校生に、先生も少し気まずそうな表情を浮かべている。


しかし、いつまでも転校生を廊下に待たせておくわけにもいかないので、その子が呼ばれるときが来た。


「転校生の飯田さんだ。入って」


「はい」


飯田さんと呼ばれた女子生徒が教室に入ってきた瞬間、みんなが言葉を失っていた。


凛とした鈴のような声。


そして姿を見せたその人は人形のように綺麗な子だったのだ。


スカートからスラリと伸びた長い足。


細い体に沿うようにして、胸まで流れる栗色の髪の毛。


少し釣り目で、長い睫毛。


プックリとした唇に、ピンク色に染まった頬。


そして透明感のある肌。


どれをとっても可愛くて美しいを思える少女だったのだ。


あたしも一瞬息を飲んでその少女に見ほれてしまったくらいだ。


「はじめまして。飯田桃花です。よろしくお願いします」


飯田さんがおじぎをするだけでそこに花が咲くような雰囲気。


クラス内からざわめきが湧き上がった。


特に男子たちの反応はあからさまで、頬を赤く染めていたり、直視できなくて視線をそらせたりしている。