テスター

まずはファンデーション。


ムラにならないよう、しっかりと鏡を見ながら丁寧に塗っていく。


朝のあわただしい時間にこっそりと行う化粧とは違い、今度はうまく行った。


口紅も唇からはみ出さないように細心の注意を払う。


そうやってゆっくり時間をかけてやっていけば、私でもそこそこ綺麗だと思える顔になっていた。


鏡でそれを確認してホッと安堵のため息を吐き出す。


これなら明日先生や生徒たちに笑われることもなさそうだ。


「ちょっとなにしてるの?」


その声に驚いて振り向くと、いつの間にか母親が部屋の中に入ってきていた。


ノックがないのはいつものことだけど、メーク中だったので心臓がドクンッとはねた。


「あ、メークの練習中だよ」


私はできるだけ自然に見えるようにそう答えた。


この年齢でメークをすることは別に特別なことじゃないからだ。


それでも心臓がこれほど早鐘を打っているのは、両親の性格を把握していたからだった。


「そんなものしなくていいの!」


案の定、母親はしかめっ面を浮かべてそう言った。