テスター

☆☆☆

化粧だって練習をすればできるようになるはずだった。


今までがそうだったように、どんなことでも諦めなければ叶うはずだった。


私はそうやって努力をして、教師になったんだから。


私は自分の部屋の中で化粧品と向き合っていた。


いっそこのまま捨ててしまって、元の自分に戻るほうが楽かもしれない。


化粧の練習をする時間があれば、明日の授業の準備をしたほうがずっと有意義な時間をすごすことができる。


そうわかっているけれど、頭の中に浮かんでくるのはトイレで聞いた会話だった。


私が真面目でいてくれれば、その分仕事がはかどる。


その言葉が離れてくれなかった。


仕事は好きだから苦じゃないけれど、他の先生の仕事まで回ってきていたのだとわかるとさすがに不満を感じた。


私がみんなの分の仕事をしている間に、彼女たちは飲み歩いているのだ。


それは不公平だ。


不真面目だ。


私が生きてきた道を踏み外す行為でもある。


私は彼女たちを見返すためにももう少し化粧をしてみようと思ったのだ。