テスター

教師たちの間で密かにささやかれ始めた私の噂は、簡単に生徒たちにも伝染して言った。


「谷津先生って彼氏いない暦イコール年齢って本当ですか?」


最初にそう聞かれたのは授業中のことだった。


普段おとなしく授業を聞いている生徒にそんなことを言われて、言葉を失ってしまった。


「あれ? 無言ってことは肯定ってこと? じゃあ先生ってまだ処女なんですかぁ?」


いかにも子供っぽい質問だ。


そんなことで動揺しちゃいけない。


無視するなり、軽くあしらうなりして授業を続けないといけない。


頭ではわかっているのに、行動に移すことができなかった。


私はただ呆然としてその男子生徒を見つめている。


「ちょっとやめなよ」


女子生徒の一人が声を上げてくれてホッと胸をなでおろす。


そうだ、ボーッとしている場合じゃない。


軽く咳払いをして授業を再開させようとした、そのときだった。


「谷津先生は今日メークに失敗して落ち込んでるんだからさ!」


女子生徒が笑いながらそう言い、スマホを取り出したのだ。


「スマホをしまいなさい!」


条件反射のように注意したが、効果はなかった。


あっという間に女子生徒周りに生徒たちが集まり、騒ぎはじめたのだ。


こんなことは初めてだった。


どうしよう。


こんなに真面目にしてきた私の授業が聞いてもらえないなんて、そんなことあるはずがないのに。