優斗くんと付き合い始めたのは、突然優斗くんがクラスの皆の前で私のことが好きだって宣言したから。

サッカー部のエースに告白されたら断れるわけないよね、なんて周りが騒ぎ立てて。

私の気持ちだけ取り残されて、付き合うことになってしまったの。

正直私はサッカーに疎いし、優斗くんのことも気に掛けたことが無かった。


「週末サッカーの試合があるから観に来るだろ? 予定あっても俺を優先しろよ」

「練習終わるまで待ってるよな。あそこのスタンドで見てろよ」

「今日の試合に負けたの、詩織がちゃんと応援していなかったからだぞ。ずっと俺のプレーを見とけよ」

そんな風に強引に私を従わせて、私が少しでも優斗くんから目を逸らすとイライラして怒り出す。


そしてサッカー部の人たちには

「こいつ、俺に惚れてるから」

なんて自慢したりしていて。とても嫌だった。