試合前日、俺の宿泊しているホテルにバカ拓海が会いに来てくれた。
「おう! 優斗。すっかり有名人だな、バカなくせに」
なんだ会うなりその毒舌は。相変わらずバカなのはお前の方だろ。
「元気だったかよ、バカ拓海。どうだよ、大学は?」
「俺、サッカー辞めたよ。合コンの方が楽しくなっちゃって」
「はぁ? お前の頭、大丈夫か?」
「っつーか、優斗だって合コン三昧だろ? いいよなー、有名人は」
「アホか! 俺はそんなの、してません」
「うっそつけー! 優斗って不思議と人気あるじゃん。それで合コンしないなんて、もったいねー」
「ほっとけよ」
「そうそう、恭介と詩織、別れたらしいぞ」
「あー、恭介が海外に行くんだろ? なにも別れなくてもいいのにな」
「聞いた話だけど、お互いに納得しての別れらしいぞ。やっぱりさ、高校の時とは何もかも変わるんだよ。大学生って全然違うんだよな、高校生とは。詩織が先に大人になっちまったんだろうな」
そっか、アイツら別れたのか。
そう聞いても、俺は動じなかった。俺も変わったってことなのか。
ってかさ、那美。その情報寄こせっての!
俺、那美じゃなくてバカ拓海とライン友達になろうかな。