「…もしかして、最初からここに連れてきてくれるつもりだったの?」



「えーと…実は前々からこの場所知ってて、いつか一緒に来たいなぁ…ってずっと思ってたんだ。それで、花火を見るならちょうどいいかもって」



「そう…だったんだ」



“ずっと”…って、一体いつから…?



私が結弦に片思いしていた時から、思ってくれてたの…?



胸がきゅっと締め付けられるような感覚に陥って、涙腺が緩み、涙が零れそうになったとき。



大きく迫力のある花火の音が、お腹の底に響いた。



音がした方を見ると、色鮮やかな大輪の花火が夜空に浮かんでいた。



「……綺麗」



思わず感嘆の声が漏れてしまうほど、今まで見た花火の中でより一層美しく、鮮明に映った。