「言っただろ。あの寮は“奈々の居場所だ”って」



祐樹先輩……。

思わずあふれる涙。

あの寮は私の“居場所”だと思っていいんだ……。


“居場所”


そう、心に刻む。



「あーっ。祐樹が奈々ちゃんを泣かせた!」

「奈々っ。ハンカチいるか!?」



彼らに囲まれて涙を流す私。

だけど、彼らの慌て方が面白くて。

いつの間にか涙は引っ込んで笑いがこぼれた。



「ありがとう」



本当に感謝しかないよ。


…寮に帰りたい。

私はおばあちゃんに向き直った。

 
「おばあちゃん。私、寮に戻るね」



おばあちゃんが頷く。

おばあちゃんはまだ入院生活が続くと思う。

おばあちゃんには寂しい思いをさせてしまうかもしれない。


だから。



「また、みんなで遊びに来るからね!」



星矢くん。

瑠衣くん。

祐樹先輩。



「寮に帰ろう!」



病院の廊下は走っちゃダメだけど。

早く寮に戻りたくて。

病院を出た私たちは、競争するかのように走り出した。


みんな。

大好きだよ!

これからも、ずっと大好き!



END、