平穏な日常。

なんて素晴らしいことだろう。

怖がるものもなにもない。

堂々と校舎を歩ける。

なんて清々しい気分なのだろう。


転校してから、そろそろ1ヶ月経つ。

木々も元気に風に泳いでいる。

やっぱり、気分がいい!



「奈々ちゃん、楽しそうだねー」

「楽しいよ!」



一緒に廊下を歩いている瑠衣くんが、不思議そうに私を見る。

ついでに言えば、星矢くんも祐樹先輩も同じような表情をしている。

私を珍生物みたいな目で見るのはやめて欲しいけど。

だけど、私の心は晴れやかなのだ!



「平和って素晴らしい……」

「平和、なのか?」

星矢くんが首をかしげながら私に問う。


え。

これが平和じゃなかったら、地球は滅亡しているよ。



「平和じゃないの?」



私は星矢くんに聞き返す。

少し考えたあと、星矢くんは口を開いた。



「確かに、揉め事は終わって平和だね」

「うん」



そう。

だから平和……。